トーシロ囲碁戦記 棋譜・詰め碁・手筋・定石集

9路・13路・19路について、囲碁のド素人(トーシロ)が囲碁について語ります。序盤の石の方向性からヨセの計算、詰碁、手筋、定石の他、ソフト、私の打った棋譜から好手・悪手・手割り等を検討、どういう打ち方をすると効率がいいか見ていきます。

◆Igo アルファ碁(AlphaGo)の実力について

コンピューターが人間を超えるのは10年先、いやいや100年先。 囲碁は盤面が広いから攻略不可能。 これが以前の共通認識でしたが、アルファ碁によって脆くも崩れ去りました。 リバーシ(オセロ)、チェス、将棋と同じように、 すでにコンピューターの実力は、人間を超えています。 アルファ碁の偉業もとい異形 ※世界トップ棋士のイセドル9段に4勝1敗! ※謎の最強アカウントの出現、リアルヒカルの碁、Saiが登場したと話題に! ※2017年1月、改良版アルファ碁が世界のトップ棋士等を相手に60連勝!  タイゼム東洋囲碁ID「Magister」野狐囲碁ID「Master」  「刑天」は、旧バージョンのアルファ碁?、「God Moves」もアルファ碁らしい? ※God Movesが、日本版ディープラーニングのZen19L(DeepZenGo)に勝利! ※Masterが、世界最強棋士 柯潔(かけつ・コジェ)、井山六冠(元七冠王)、朴廷桓を撃破!  日中韓1位:各国の第一人者3人を相手にアルファ碁が勝利! まさに圧勝、人類大敗北といった様相を呈しています。

◆Igo 従来の囲碁ソフトとの違い

アルファ碁は今までの モンテカルロ法 に加え、 画像認識ディープラーニング(Deep Learning/経験則)を組み合わせた囲碁ソフト。 個々の能力はアマ高段レベルとのことですが、 3つの能力を組み合わせることにより最強クラスの強さになっています。 レーティングについて Googleが開発したアルファ碁(AlphaGo)のレーティングですが、 当初では、3,200程度(プロ高段)という発表。 しかしながら、蓋を開けてみれば3,700(私見)はあるんじゃないかという程の強さでした。 ZENやCrazyStone(以下CS)などと対戦し500戦499勝という数字は眉唾ではなかったようです。 イ・セドル先生との対局を見ていて思ったのですが、一部の手を除き アルファ碁の打ち回しは本当に完璧といっていいレベルに達しています。 想像以上につよい。 現在のレーティングはアルファ碁の対局数の少なさもあり、 セドル先生との5戦MATCHが終了した時点で レーティング3,586の世界2位 となっています。 Alpha Goのその後について 2016年7月20日:アルファ碁のレーティングがすべてのプロを抜き去り、世界一位になりました! セドル戦の後、トップまであっという間でしたね。 この強さなら当然ですが、韓国棋院はアルファ碁に対し、名誉9段認定しています。 アルファ碁は自己対戦により、日々進化を重ねており、 バージョンアップ版では、すでにレーティング4,500を超えている模様です(自己対戦からの推測値) https://www.goratings.org/ 囲碁のレーティングリスト、イセドル戦の後、アルファ碁の60連勝は反映されていないっぽい? 公式戦ではないためか?(2017年1月11日時点) 韓国がアルファ碁(google)に謝罪要求! 韓国の弁護士(田氏)が、イセドル9段の敗北に対し物言い! 今回の対局はインチキ、アルファ碁のAIは人工知能でもなんでもないし、囲碁を探究していない。 また、アルファ碁のプログラムコード自体が反則、到底認められるものではない。 グーグルのアルファ碁は、囲碁のゲームや歴史を侮辱している。 イセドル、世界の囲碁プレイヤー、ファン・フイ(ヨーロッパチャンピオン)に対し、謝罪しなければならないとのこと。 http://www.recordchina.co.jp/a130927.html レコードチャイナより超要約、詳しくは上記記事。 ※AIがいきなり人間を超えるなんて、囲碁をやっている人にとっては衝撃的すぎる。  そのためか何だか、批判的な意見やアルファ碁が神の一手に最も近いという、神格化した意見に二分されています。  A級さんのところですと、アルファ碁の実力は過大評価で、言われているより弱いとの見解。  アルファ碁の打ち方を解説していたプロの人は、説明しきれなかったことを謝罪・・・

◆Igo レーティングの信用性について

ZENやCSのレーティングは現状、2,500程度となっています(DeepZenGoになり飛躍的にアップ) このGoogleはレーティング評価は正確な数字だと思います。 少なくとも現状(セドルとの対局時点)、ZENやCSはプロよりも弱いです。 従来のソフトは日本のトッププロに4子置いて勝てるか勝てないかと言うレベル。 石4個というと囲碁を打ったことがない人から見ると誤差のように思えるかもしれませんが、 これは、とてつもないハンデです。 勝率7割を1手合いとして考えると、 石4個というのはハンデなしで対局した場合、理論上0.81%しか勝率がないということ。 要するに、ヒューマンエラーといったラッキーな状況がない限り100%人間が勝ちます。 プロのレベルも上から下まで結構な差がありますが、 少なくともZENやCSが、置き碁前提と言う現状を考えれば、 レーティング2,500という評価は、妥当と言えるでしょう。 レーティングにして1,000以上の底上げ アルファ碁の強さもそうですが、Googleは、レーティング換算についてもかなり正確に評価しているようです。 今回のアルファ碁ですが、今までのZENやCSのレーティング2,500から実に1,000以上も強くなっています。 1年で100〜200上がっていくのが普通ですが、このあがり方は予測不可能。 ブレイクスルーしたなどと言われるのはこのためです。 今後は、ZENもディープラーニングを導入するそうで、 それによってどれだけ強化されるか注目ですね。 ※第4回電聖戦が平成28年3月23日に行われました(当記事執筆1週間後)  アルファ碁のインパクトが大きすぎて忘れられがちですが、  電聖戦、Deep ZEN や 井山七冠達成なるか!? などの楽しみも残っています。  今年はいきなりの豊作。  しかし、このインパクトは大きすぎる。  アルファ碁は、最後のインパクトとして来て欲しかった。
◆Igo アルファ碁の強みと弱点
冒頭に挙げましたアルファ碁の強さについてですが、まだ完璧という訳ではないようです。 アルファ碁の対戦成績 隙の無いアルファ碁ですが、まだ100%勝つという領域ではありません。 他の囲碁プログラム:500戦 499勝 1敗 ヨーロッパチャンプ:5戦 5勝 0敗 〃非公式早碁:5戦 3勝 2敗 韓国イ・セドル9段:5戦 4勝 1敗 対局結果はこのようになっており、 圧倒的な成績ではありますが、4敗が確認出来ています。 一見すると負けてるから穴があるという風に思えますが、 打てば打つほど強くなるといのがアルファ碁の怖いところ。 他の囲碁プログラムに負けた1敗も何時起きたのかが気になります。 最初の1戦負け → パワーアップして499連勝 499連勝 → パワーアップしてるけど500戦目で負けちゃった どこで負けたかによって意味合いがちょっと違ってくる気がします。 モンテカルロ法の強みと弱点 囲碁のモンテカルロ法というのは、囲碁は盤面が広いため全部読むのは無理。 そこで、手を絞って考えさせよう という手法です。 これにより、コンピューターの読みの深さが増えますが、 そこに いい手があっても、読みから外れてしまう という危険性があります。 私見ですが、Googleはこの点をディープラーニングと画像認識で強化したのだと思います。 読まなくてもいい手を割り出す精度 を高めれば読み筋を減らすリスクがなくなりますからね。 イ・セドル9段との対局、3局、4局、5局は、 今までのコンピューター碁と比べて興味深い内容になっています。 第3局、左下でのコウ含みの戦い。 今までのコンピューターソフトは、コウに弱いという特徴がありました。 1〜3局においてアルファ碁は一度もコウを取っていないという状況も相まって、 コウに弱い点が健在なのではという懸念がありました。 しかし、アルファ碁は完璧に読みきってコウ勝負を勝ちきりました。 もう、コンピュータはコウが弱いなんて言えませんね。 第4局、イ・セドル9段の割り込み この局はセドル先生が見事に逆転勝ちされました。 アルファ碁の敗因としては、アルファ碁が割り込む手を読み筋から外してしまったのと、 失敗した後の対応に問題があった点が挙げられます。 セドル先生の打った手は一見するとどう見てもあり得ない手(いい手だけど気づかない)で、 解説していた先生方も打った直後「なにそれ!?」という反応でした。 全部の手を読まないという脆さがモロに出た局でした。 画像認識やディープラーニングでも、流石に イレギュラーすぎる手に対応するのは難しい のでしょう。 また、従来のモンテカルロの特徴。 不利な状況になると滅茶苦茶な打ち回しになるという点が健在である点が確認されました。 第5局、ミスの小出し 石塔シボリに気づかなかった点と無意味な手を打った点がありました。 決定的なミスではなかったため、アルファ碁に巻き返されてしまいましたが、 これも全部の手を読まない弊害なのでしょうか? 無意味な手について、 自分のコウ材などを減らすような手は、地合いには無関係ですが、 将来において、コウ勝負が起きた場合、コウ材不足で負ける危険性があります。 人間がやるような、時間つなぎ目的でもありません。 もしかしたら、わざと部分的に状況を確定させて、読む範囲を狭めに行っている のかもしれません。 アルファ碁の特徴 全局を通じてですが、アルファ碁は、あまり無茶や長考をしないイメージ。 序盤に形勢が微妙でもあまり無理をせず 手厚く打って逆転する。 相手の石を取るよりも 攻めながら得をしていく という打ち方で打っていました。 第5局でも、相手の石を全部狙わず、局面を収めに行っていました。 要するに無理をしない 本格派の打ち方 です。 時間の使い方においては、微妙なときは時間かけるけど、 判りやすいところは時間かけずにさっさと打つという、人間に近いものがあります。 おそらく、ディープラーニングと画像認識で読まなくていい手が多い場合、 読む場所がかなり限定されてくるため、時間をかける必要がないのでしょう。 全局を通じて、アルファ碁のほうが短時間の考慮時間で打ち続けていました。 この辺りは、コンピュータのスペックによっても違うかもしれません。 持ち時間に関してですが、アルファ碁は長い碁より、早碁の方が苦手のようです。 ファンフイ氏に負けた局は、早碁で難しい局面になったのが原因だと予想されます。 早碁で時間内に手が読みきれなかったのでしょう。 コンピューターとの対局は、持ち時間が長くないと人間不利と言われますが、 アルファ碁に関しては、持ち時間が長いと逆に人間の方が不利になるかもしれません。 アルファ碁は、どんどん強くなる。 アルファ碁は自己対局を行うことにより勝手に強くなっていきます。 アルファ碁は、はじめ10万の無作為な棋譜データと3千万回の自己対局によって、 囲碁を学習したそうです。 今回、イ・セドル9段と対局したアルファ碁ですが、 ヨーロッパ囲碁チャンピオンのファンフイ氏を倒したときのアルファ碁に、 8割程度の勝率を上げるくらいに強くなっていると聞きました。 こうなってくると何処まで強くなるのか見物ですね。 アルファ碁が5戦全勝するようなら、開発チーム解散の可能性があったそうですが、 4勝1敗ということで、まだまだ開発続行してくれそうです。 アルファ碁は市販されるのか否か? 個人的にアルファ碁とは、凄く対局したいです。 しかしながら、今回のアルファ碁、スーパーコンピューターではないですが、 Google Cloud Platform上の、分散処理環境(176個のGPUと1,202個のCPU) を使って計算しているようです。 ディープラーニングもあるため、一般PCのソフトとしては販売されないかもしれません。 性能落としたアルファ碁とクラウド対戦とか、もしかしたら出来るかも……? Match - Google DeepMind Challenge Match: Lee Sedol vs AlphaGo 以下の各URLから対局が見られます。 はじまるまで時間がかかるため、スクロールバーを移動してください。 1戦目:https://www.youtube.com/watch?v=vFr3K2DORc8 2戦目:https://www.youtube.com/watch?v=l-GsfyVCBu0 3戦目:https://www.youtube.com/watch?v=qUAmTYHEyM8 4戦目:https://www.youtube.com/watch?v=yCALyQRN3hw 5戦目:https://www.youtube.com/watch?v=mzpW10DPHeQ ニコ生版の解説動画 http://blog.nicovideo.jp/niconews/ni059650.html 今後のディープラーニング 今回のインパクト、真に恐ろしいのは囲碁以外においても使える汎用性。 今後、Starcraft2 が Googleの攻略ターゲットになっているという情報もあります。 ※Starcraft2は、ブリザードエンターテイメント(米国)のゲーム。  日本では超マイナーだが、世界的には物凄く有名なゲームです。  面白いけど、日本人向けでないのは確か(imbaな、Sentry死すべし、慈悲は無い)  http://wiki.teamliquid.net/starcraft2/Sentry_(Heart_of_the_Swarm)  (FFアレルギーになった被害者は私だけじゃないはず、こいつは可愛いなりした悪魔、容赦するな) ※間違われやすいですが、AlfaGo ではなく AlphaGo です。
◆Igo 今後のソフト開発について
Googleのアルファ碁は十分すぎる成果を上げてしまっている状況で・・・、 今後の開発は、碁以外におけるディープラーニング研究が優先される可能性があります。 アルファ碁以外では、日本の囲碁ソフト、Deep Zen Go(Zenにディープラーニング)の開発が順調のようです。 アルファ碁に後を追い、開発されたDeep Zen Goですが・・・、 こちらの方は、趙治勲名誉名人と対局し、1勝2敗! 結果としては名人が勝ちましたが、 国産ソフトでは、はじめてプロ相手に19路 互い戦で1勝をもぎ取りました! まさか、ZENがこんなに短期間でこれ程強くなるとは・・・、 今後、市販されるソフトがどのようなものになるのか、今から楽しみですね。 TOPに戻る:囲碁戦記
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